Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第2章 俺達のちょっと困った事情
二人で小さなテーブルを挟んで座ると、得もしれない緊張感が俺を襲った。
だってこの状況、どう考えたって嫁の父親と婿の構図だろ…
運ばれてきたコーヒーを、パパさんが一口啜る。
「潤くんのコーヒーの方が美味いな…」
「そ、そう?」
「うん。まあ、飲み慣れてる、ってのもあるだろうけどね?」
パパさんがそう言ってクスリと笑う。
あれ?
もしかして怒って…ない?
「あ、あのさパパさん…」
俺はカップを皿に置くと、少しだけ姿勢を正した。
「俺…」
「いいよ、分かってるから」
言いかけた俺の言葉を遮るように、パパさんがオレを真っ直ぐに見据えて言った。
「潤くんが和のこと、大事にしてくれてるの、俺はちゃんと分かってるから…。でもなぁ…」
パパさんが困ったように眉を下げて、頭をポリポリと掻く。
その様子から、パパさんが何を言いたいのか察した俺は、両手をテーブルに着いて、頭を下げた。
「…すんませんでした…」
「いやいや、別に謝れって言ってる訳じゃないよ? だって愛し合ってるなら、当然の行為だしね? でも…出来ればあんまり聞きたくなかったかな…ってのが、俺の正直な気持ちかな…」
そりゃそうだ…。
もし俺に子供がいたら、きっと同じように思うだろうし…
もっとも、俺と和の間に子供なんて、どうしたって望めないんだけどさ…
「まあ、二人共もう立派な大人だから、周りがとやかく言うことでもないんだけとね?」
自嘲気味に笑って、パパさんがカップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
「さ、行くか。明日は朝から忙しくなるからな、潤」
「ですね」
俺たちは一旦荷物を店に置いてから、和の待つ家に帰ることにした。