Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第33章 俺らの疑問と秘密
パパさんの店を通り抜け、潤のカフェに入ると、一気に甘さと苦味を混ぜ合わせたような、それでいて香ばしい匂いに変わる。
「よっ」
カウンター席の背凭れなジャケットをかけ、右手を軽く上げると、グラスを拭いていた手を止め、潤が振り返った。
「あれ、どうしたの、珍しいじゃん」
「まあな…」
パパさんと同じ質問に、正直面倒臭さを感じてしまう。
「それより、アイスコーヒー頼むわ」
こう暑くちゃ、キンと冷えたコーヒーでも飲まなきゃやってらんない。
「OK。あ、ミルクは? 多めで良かった?」
ガキの頃から一緒にいるコイツは、俺の味の好みもしっかり熟知している。
勿論、俺だけじゃなく、智や和の好みの味だって…
「はい、どうぞ」
「お、サンキュッ」
出されたストローを使うことなく、完璧に調合されたコーヒーを、グラスから直に喉に流し込む。
大分冷えたとは言え、まだ火照りの残る身体を、冷えたコーヒーが冷やして行く。
「ぷは〜、生き返るぜ…」
「中にいると分かんないけど、今日も暑いもんね…。つか、ちょっと冷え過ぎじゃない?」
「ぷっ…!」
この時期になると、必ずと言って良い程耳にする潤の口癖に、思わず吹き出してしまう。
つか、危うくコーヒー噴射する所だったよ(笑)