Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第33章 俺らの疑問と秘密
電車に揺られること凡そ10分…
丁度睡魔が襲い掛かってきた頃、タイミング良く止まった電車から降りた俺は、どっと感じる不快感に思わず肩を落とした。
仕方ないか…、さっきまで超快適空間にいたんだから、この暑さが不快に感じないわけがない。
「翔くんは汗っかきさんだから」と、出がけに智に持たされたタオルで汗を拭い、改札を抜けた俺は、何とか陽射しを避けながら、商店街の中を進んだ。
潤の店(正確には“パパさんの”だけど)は、最寄駅とマンションの中間に位置しているから、この汗ばんだ身体をクールダウンさせるには丁度良い。
俺は甘い香りと、同時に漂って来るコーヒーの香ばしい匂いに引き寄せられるように、店のドアを開いた。
「あれ、どうしたの、こんな時間に珍しいね?」
汗だくの俺を見て、パパさんが驚いたように声を上げた。
「たまたま近くで仕事があってさ、直帰命令が下ったから、コーヒーでも飲んで帰ろうと思ってさ」
「そっかそっか、たまにはいいんじゃない? 丁度今店も落ち着いてきたところみたいだし、ゆっくりしていきなよ」
「はい。あ、でもこのことは智には内緒にしといて?」
アイツに知れると、狡いだの、お土産はないのかだの、とにかくしつこいし、煩くてかなわないから。