Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第30章 僕達の貯金箱
「なあ、智…?」
「なあに?」
「お前が本気で“里親になりたい“って言うんなら、俺も考えてみてもいい。協力だってする」
「ほんと? ほんとにいいの?」
勉強が何より嫌いな智が、自分で調べて、それでも欲しいと…そこまで本気なら、俺だって…
智の夢は、俺の夢でもあるから…
でも…なんだよな…
「里親になるのは反対じゃない。でもお前耐えられんのか?」
戸籍上“本当”の親子になれる特別養子縁組と違って、里親はいずれ子供を手放さなきゃいけなくなる。
尤も、普通の夫婦であれば、その後養子縁組…ってのも考えられなくもないが、俺達にそれは当て嵌らない。
智にとっては…いや、俺達にとっては束の間の幸せになるかもしれない。
その時、智のことだから絶対…、いや確実に泣くに決まってる。
俺は智の涙は見たくない。
それに、里親になるには、それなりの研修だって受けなきゃいけないとも聞いたことがある。
勉強嫌いの智に、それが耐えられるんだろうか…
う〜ん…、不安だな…
「僕頑張るよ?」
「うん、分かってる。いい加減な気持ちでもないこともな? でもさ、智?」
俺は肩越しに振り向いた智の顎を掴み、キュッと噛み締めた唇にキスをした。