Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第30章 僕達の貯金箱
「そう言えば…」
俺は今年の正月、初詣に行った時に、智が“子供が欲しい”って願ったのを思い出した。
でも一種の冗談だと思ってたんだけど…
まさか…だけど、本気だった…とか?
でも、だけど…だ、一口に“赤ちゃんを貰う”と言っても、それは現実的に考えたら、そう簡単なことじゃない。
第一、俺達みたいな同性カップルなら、尚のことだ。
「本気…なのか?」
「本気だよ? ほんとはね、翔くんの赤ちゃんが出来たらな、って思うよ? でも難しいじゃん?」
「まあ…な…」
実際、男性の体内に人口の子宮を埋め込んだり、子宮を移植したり…、男性でも妊娠出来ることは現実問題として不可能ではない。
ただそれはあくまで外国での話しだ。
同性婚さえ認められていないこの国ではどうなんだろう…
「でね、僕色々調べてみたんだけどね、“里親”ってのになると、僕達みたいな男の子同士でもパパとママになれるんだって♪」
里親制度については、俺も全く知識がないわけじゃない。
事実、会社の先輩にも里親制度を利用している家庭もある。
それに、戸籍上の“婚姻関係”の有無が絶対条件とされる特別養子縁組とは違って、里親制度は俺達みたいな同性カップルに対しても門扉は開いてくれている。
でもなぁ…