Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第2章 俺達のちょっと困った事情
ボスっと落ちてきた和を、布団ごと抱え込む。
うん、やっぱこうした方があったかい。
「ちょ、ちょっと…、駄目だって言ったじゃん」
抱き枕状態になった和が、布団の中でモゾモゾと動く。
「もう、離してったら…」
「やだ」
「約束したでしょ? 布団も別だ、って…」
確かにしたよ?
したけどさ、俺別に約束破ってないけど?
だって、
「一応、掛け布団は別だけど、それもで駄目?」
敷布団は一つだけどね?
「それ、言い訳じゃん…」
「そ? だって俺寒いんだもん」
「だ、だったら毛布出してやるから…」
「いらないよ、毛布なんて。こうしてれば暖かいから」
布団越しに、ってのが残念だけど、和の体温がちゃんと伝わってくるから。
俺は和の洗いざらしの髪に鼻先を埋めると、シャンプーの甘い香りを肺いっぱいに吸い込んだ。
「なあ、キスも駄目?」
頑固な和だから、速攻でダメ出しされるのを覚悟で聞いてみる。
ま、仮に”駄目”って言われてもするけどね?
勿論今じゃない。
和がしっかり寝付いてから、だけど…
ところが、だ…
「ホントにキスだけ…? それ以上はしない?」
俺の腕の中で布団に包まれた和から、意外な答えが返ってきた。
「し、しない。約束する」
「じゃあ…、いいよ? キス、しても…」
和が唯一布団から出ていた顔を上向かせて、瞼を閉じるから、俺は迷うことなくその顔を両手で挟み込んで、薄く閉じた唇に自分のそれを重ねた。
よし、これで満足。
なんてなるわけないっつーの。