Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第30章 僕達の貯金箱
「ちょっとここ座れ」
大量のもやしで腹を満たし、せっせと風呂の支度を始めた智を、膝をポンと叩いて呼び寄せる。
当然の如く、喜び勇んで俺の膝に飛び乗った。
「なに、どうしたの? あ、翔くんたらまたエッチなこと考えてるでしょ? 」
ああそうだよ、俺の頭ん中はいつだって…って、ちがーう!
ヤバいヤバい、危うく智の手に乗っかるところだった…
「違うよ、そうじゃなくてさ…。あの貯金箱なんだけど…」
「うん。クマさんがどうかした?」
「急に貯金とかって…何か欲しい物でもあるのか?」
この際節約云々はどうでも(良くないけど…)いい、急に貯金を始めた理由が知りたい。
「欲しい物ははね、特にないの。だって僕、翔くんがいれば何もいらないから…」
うん、それは俺も同じだ。
智さえ隣にいてくれるなら、他には何もいらない。
「じゃあ何で?」
欲しい物もないのに、貯金をする意味が分からない。
まさか智に限って、将来が不安になった…なんてことは…
「あのね、僕達男の子同士でしょ? 子供作れないでしょ? どっちかがいなくなっちゃったらさ…困るじゃん?」
あんのか〜い(笑)
まあでも、智の言いたいことは、俺にも理解出来なくもない。
実際、俺自身不安に思ったことは…、正直一度や二度じゃない。