Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第30章 僕達の貯金箱
何とも納得がいかないまま缶ビールを傾ける。
同じビールとは言え、飲み慣れたビールとは、やっばりどこか違う。
「出来たよ〜♪ 食べよ?」
「お、お、お、おう…」
ビールの量と味はともかくとして、飯だ、飯…
「…って、は?」
目の前にある皿に盛られたのは、確かにもやし炒め…なんだけど、いつも智が作るもやし炒めとは、どこか様子が違って見えるのは…何故だろうか…
「あの…さ、智?」
「ん? にゃに…? たべにゃいの…? 美味しいよ?」
「た、食べるよ…、食べるけどさ、肉は?」
そうだ…、いつも智が作るもやし炒めには、沢山ではないけどちゃんと肉が入っていた。
それに、
「卵は? 卵はどこ行った? それからニラは…」
「ん? 入ってないけど? だってさ、玉子の特売日は明日なんだもん。それにニラって高いんだよ?」
そう…なのか…、知らなかった。
「…って、そういう問題じゃなくてだな…」
まさか“協力”って、このこと…なのか?
「あの…さ、智…くん…?」
「なぁに? 翔くん♡」
たまの“くん”付け呼びに、もやしでパンパンになつたほっぺたを緩めてふにゃふにゃ笑う智。
超可愛いじゃないですかぁ♡
…って、この笑顔に惑わされてる場合じゃない!