Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第29章 大人な俺達のバレンタイン小夜曲
昌宏さんのマンションの駐輪場に自転車を停め、ついでに昌宏さんの車があるか確認する。
合鍵は貰っているものの、いくら恋人とは言え、留守中に勝手に上がり込むのは気が引ける。
もしまだ帰って来ていないようなら、エントランスで待つつもりだった。
でも有難いことに、昌宏さんの車は、いつもの決まった場所に停められていて…
良かった…、待ちぼうけ喰らわずに済みそうだ。
俺は走ってエントランスに回ると、やっばり合鍵を使うことなく、インターホンを鳴らした。
「上がって来い」
部屋のモニターで俺だと確認したんだろうね…、声がちょっとだけ怒ってる気がするけど、俺は気にしない。
だって昌宏さんのことだから、俺の顔みたらきっと…
って、俺自意識過剰過ぎかな…
でもエレベーターの扉が開いた瞬間、俺の自惚れなんかじゃないって確信した。
「来るなら連絡しろって…。心配すんだろうか…」
「ごめんなさい。でもどうしても今日会いたくて…」
いきなり来たことを咎められ、項垂れるわけでもなく、まっすぐに昌宏さんを見つめた俺を、昌宏さんの腕が引き寄せる。
「とにかく入れ。寒かっただろ…つか、何でお前汗かいてんの?」
ありゃりゃ…、やっばり汗っかき発動しちゃったかな(笑)
「早く会いたくて自転車かっ飛ばして来たから…」
肩にコツンと頭を預け、上目遣いで見上げる。
昌宏さんがこの手の仕草に弱いことを、俺は知ってる。
だってほら、耳真っ赤になってるし(笑)