Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第28章 僕達のバレンタイン狂騒曲
一通り晩ご飯の支度を済ませた僕は、壁の時計と睨めっこを始めた。
電車なら、会社からお家まで凡そ30分。
でも車だとどうなんだろう?
遅いのかなぁ…、それとも早いのかなぁ…、どっちなんだろう…
そんなことを考えていると、決まって訪れるのが睡魔くん。
負けちゃいけない、って思っていても、睡魔くんにはどうしても勝てない僕は、ソファーにゴロンと横になると、
「ちょっとだけ…ね…?」
自分に言い訳をして、瞼を閉じた。
「…とし、おい、智…」
身体を揺すられ、僕は目をパチッと開けた。
「えっ、しょ…くん…? ど…ちて…?」
「どうしてもこうしても、舌回ってねぇし(笑)」
眉尻を思いっきり下げた翔くんが肩を揺らす。
あ、そっか…、僕寝ちゃったんだっけ…
「ごめん、すぐご飯するね?」
一気に目が覚めた僕は、ソファーの上でポンと飛び起きると、大急ぎでキッチンに立った。
けど…
あれ?
僕何するんだったっけ?
あ、そっかご飯…カレーあっためなきゃ!
レトルトのカレーで満たしたお鍋をコンロにかけ、炊きたてのご飯をお皿に盛り付ける。
でも普通じゃつまんないから、今日だけ特別仕様のハート型に盛り付けて、あったまったカレーを周りにかければ…
「じゃ〜ん! バレンタイン特別カレーの出来上がり♪」
「おっ、美味そうじゃん」
「ふふ、早く食べよ?」
これがレトルトだなんて、微塵も疑わない翔くんが好きだよ♡