Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
和也side
音響&照明係を買って出た俺は、潤の合図と同時に、予めCDをセットしておいたプレーヤーの再生ボタンを押した。
曲は智セレクトの、超メジャーな一曲。
その曲に合わせて、その場にいた全員が声を揃えて歌い始める。
普段はあんまり大きな声を出すことのない智も、この時ばかりは誰よりも大きな声で歌ってる。
翔ちゃんのこと、好きで好きで堪んなってのが、その声や表情からも伝わってくる。
しかも上手い!
そうして歌が終わり、拍手と同時に上がる「おめでとう」のこえ声と、向けられるいくつかのカメラ。
勿論その中には、ちゃっかりスマホを構える智の姿もあって、今か今かとその瞬間を待ち侘びた。
「ね、翔くん、早くフーして?」
「お、おう」
智の声に急かされるように、翔ちゃんが息を吸い込む。
でも、
「智、こっちおいで?」
翔ちゃんはロウソクを吹き消すことなく智を隣りに呼び寄せると、、コックコートの肩をギュッと抱き寄せた。
「翔…くん…? えと、あの…」
写真を撮る気満々だった智がスマホを手に俺を見るから、俺は躊躇うことなく智からスマホを受け取り、レンズを二人に向けた。
スマホ越しに見る二人は、時折お互いの耳元で何かを囁き合っては視線を交わす。
その姿がとても幸せそうで…
俺は少しだけ二人が羨ましくなった。