Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
「ね、ね、翔くんも来たことだし、早く始めよ?」
コックコートの袖からちょこんと出た指が、(本人は…)こっそりのつもり…なんだろうな、俺のエプロンの端を摘んだ。
「そうだな、そろそろ始めるか…。和、頼む」
俺は和に合図を送ると、パチンと指を鳴らした。
瞬間、店内を照らしていた照明が落とされ、在り来りなバースデーソングに合わせて、パパさんがロウソクの明かりが灯った特製特大のケーキを載せたワゴンと共に現れた。
「なんだなんだ、これは一体どういうことかな?」
わざとらしく驚きの声を上げる翔さん…
つか、アンタ役者にはなれねぇわ(笑)
「やだぁ、翔くんのお誕生日会に決まってるでしょ? もお、翔くんたらぁ♡」
智もな?
お前絶対詐欺に合うタイプだろ(笑)
智の手を借りながら、パパさんがケーキをテーブルに載せると、ロウソクの明かりで翔さんの顔がオレンジ色に浮かび上がる。
くくく、知ってた割には、満更でもないって顔してんじゃん(笑)
「ショウくん、誕生日おめでとう。これは俺からのプレゼントな?」
パパさんが特製特大のケーキ指さし、「サトくんとの共同作だけどね?」と付け加え、爽やかな笑顔を向けた。
「智も?」
「そうだよ、僕もお手伝いしたんだ。んとね、こことかこことか? あ、これも…あと…」
「さーとし、説明は後にしろ」
俺は永遠終わりそうもない智を止め、再度指をパチンと鳴らした。