Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
潤side
和と一緒に店に現れた翔さんは、見た目こそ普段と変わらないけど、その口調はまるでロボットでも喋ってるようで…
「和ちょっと…」
俺は翔さんの後ろで苦笑いを浮かべる和を呼び、カウンターの中に引き込んだ。
「おい、翔さん様子おかしくないか?」
「それがさ…実はね…」
和が俺の耳元に口を寄せ、小声で事の顛末をボソボソと話し出す。
その度に俺は、
「え? はあ? マジかよ…」と、声を上げたいのを堪え、頭を抱えた。
「そういうことだからさ、智には…」
「お、おお、そうだな…」
いくら智でも、翔さんが気付いてたと知ったら…
俺は若干哀れみを込めた目を、ウキウキ顔で翔さんに駆け寄る智に向けた。
でも、俺の心配をよそに、智は何の疑いもなく(…っつーか、変に思わない智も智だが…)、店の入口で固まる翔さんの手を引くと、綺麗にセッティングされたテーブルの、所謂お誕生日席ってやつに翔さんを座らせた。
「見て見て〜、似合う?」
「すげー、にあうよ」
薄水色のコックコートをヒラヒラさせる智に、ロボット口調の翔さん…
でもその目はしっかりとハートマークになっている。
「なんか…、これって“取り越し苦労”っこと?」
「そう…みたい…だな…」
相変わらずのバカップルぶりに、俺も和もカウンターの影で、乾いた笑いを浮かべた。