Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
喫茶店を出て、潤の店に向かう途中、ハンドルを握る翔ちゃんが、いつになく表情を堅くした。
まさか、翔ちゃんに限って緊張してるとかは…
「なあ…、俺ドキドキしてきたんだけど…」
あったみたい(笑)
そりゃそうだよね、知ってて知らないフリするのって、簡単なようで案外難しいもん。
「大丈夫だって、いつも通りにしてれば。ね?」
「そ、そうだよ…な…」
…って、俺の方が不安でドキドキしてきちゃうよ…。
どうにかこうにか潤の店の前まで乗り付け、“貸し切り”のプレートを目にした瞬間、俺の不安は現実のものとなった。
「入るよ?」
ドアに手をかけた俺を、一つ深呼吸をした翔ちゃんの手が止めた。
「いい、俺が開ける」
「あ、そ…う…?」
俺は翔ちゃんに前を譲ると、チリンとチャイムを鳴らして開いたドアから、翔ちゃんの後に続くように店内へと入った。
店内はいかにもパーティーらしく飾り付けがされていて、俺も知っている顔が、一斉に俺…いや、翔ちゃんを振り返った。
そしたらさ、翔ちゃんたら…
「わ、わあ、みんなどうしたんだい? きょ、今日は何かあるのかな?」
ビックリするような棒読みで、大袈裟なまでに驚いて見せた。
っていうか、翔ちゃん芝居下手過ぎ(笑)