Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
和也side
特に行く当てもない俺達は、仕方なく翔ちゃんの会社の近くのレトロ感半端ない喫茶店に腰を落ち着けた。
関西弁を話すリーゼント頭のマスターが淹れてくれるコーヒーは、(潤のには負けるけど…)美味しくて…
「翔ちゃん、こういうトコ来たりするんだ?」
意外だった。
翔ちゃんみたいに有名企業で働く人は、もっとお洒落なカフェとか行ったりするもんだ、って勝手に思い込んでたから。
「しょっちゅうって訳じゃないけどな?」
「ふーん、そうなんだ…。あ、そう言えばさ、智と何があったの? 大変だったって聞いたけど…」
潤に聞いても教えてくれないし、しかも俺のせいにされたし…
「ああ、その話か…。まあ、話すと長くなるんだけどさ、そもそもは俺が俺の誕生日忘れてたのが原因…つーか…」
「は? 翔ちゃん自分の誕生日忘れてたの?」
「まあ…な…。しかもその日さ、飲み会でさ…」
目の前で、コーヒーを啜りながら、翔ちゃんがなんともバツの悪そうな顔をする。
っていうか、それは智じゃなくても怒るよ。
俺だって、せっかく好きな人のために一生懸命準備したのに、潤が俺より飲み会を選んだ、ってなったら腹が立つもん。
「あ、でもちゃんその日のうちに仲直りはしたけどな?」
「当たり前でしょ?」
腕を組んだ俺の睨みに、珍しく翔ちゃんがシュンとなったところで、俺のスマホに潤からの連絡が入った。