Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
潤side
智がパパさんのパティスリーに顔を出したのは、店のオープン一時間前の事だった。
「おっはよ〜♪」
つか、テンション高すぎだって(笑)
「やあ、サトくん、待ってたよ」
「あっ、パパさん♪ ねぇ、ケーキ出来てる?」
「う、うん、出来てるよ…。ただね…」
パパさんが俺に救いを求めるように、情けない顔を向ける。
俺は咄嗟に智の肩を叩くと、
「朝飯食うか? 美味いチョココロネがあるんだ」
智をカフェスペースに誘った。
勿論、智がチョココロネに目がないことを知ってのことだ。
指定席と化したカウンター席に座ると、心底幸せそうにチョココロネを頬張る智の前に、智作のケーキのデザイン画を広げた。
「あ、これ僕が描いた…」
口の端にチョコをくっつけ、智が首を傾げる。
俺は指の腹でチョコを拭ってやると、その指をペロッと舐めた。
傍から見たらドン引きな行為も、俺達の中では当たり前のこと。
和も翔さんも妙な嫉妬をしたりはしない。
と、まあそんなことはどうでもいい。
「あのな、智? お前、これ本気で出来ると思ってんのか? 時間もないし、無理たぞ?」
俺は智の描いたデザイン画を指でトンと叩いた。
こんな精巧なデザイン、プロのパパさんだって首を捻るのに、素人の智が出来るわけない、ってね?
なのに智と来たら…
「大丈夫だよ、僕絵は得意だから♪」
なんてあっけらかんとした顔で言ってのけた。