Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第25章 俺達のスケジュール帳
「行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい。後でね?」
玄関先でもう一度キスを交わし、和の頭を一撫でしてから、俺は店に向かった。
和がいつ頃翔さんを連れて来るのか、確認するのを忘れたけど、多分和なら大丈夫だろう。
頃合いを見てLINEでもするか。
CLOSEのプレートがかかったままのドアを開け店に入ると、パパさんは既に出勤していて、仕込みの最中だろうか、店内には甘い香りが漂っている。
「パパさん、今日宜しく」
「ああ、潤か。おはよう」
挨拶もなしにキッチンを覗いた俺に、パパさんの爽やかな笑顔が向けられる。
つか、朝から何でそうも元気なんだろ(笑)
「あ、ねぇ、それ今日の?」
「うーん、そうなんだけどね…」
作業台の上にいくつか並んだホールケーキの中でも、一際大きく目を引くケーキを指さすと、パパさんが少しだけ困った表情を浮かべた。
「実はさ、仕上げはサトくんがしてくれるみたいなんだけど…、ちょっとこれ見てくれる?」
広げられたのは、如何にも智らしいアーティスティックなデザイン画で…
「ねぇ、コレ出来んの?(笑)」
俺は思わず吹き出した。
「だろ? いくらサトくんが絵が上手でも、コレは無理だと思うんだよね…」
確かにな…、時間もそんなにないし…
「分かった。俺が説得してみるよ、“無理だ”って」
条件付きだけどな?(笑)