Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第24章 僕達のカレンダー③
終電も近いせいか、人家も疎らになった駅構内を、ひたすら改札目指して駆け抜ける。
時折向かって来る酔っ払いと肩がぶつかりそうになって慌てて避けるが、その度にクタクタになった足が縺れそうになる。
しつこいようだが、こんだけ走らされると分かっていたら、スニーカーを履いて来れば良かった…
そうして漸く改札口に着いた頃には、もう息も絶え絶え、足はガクガクで…
俺は一瞬日頃の運動不足を呪いながらも、バイト君が言っていた改札口周辺をグルリと見回した。
でもどこにも智の姿はなくて…
「行き違いになったか?」
それならそれでいい、智がちゃんと家路についているなら…
ガックリとすた反面、若干ホッとして踵を返した時だった。
「翔くん? えっ、なんで? どうして?」
聞き覚えのあるポワンとした声と口調に、俺は踏み出していた足を止め、後ろを振り返った。
「智…」
そこには紙袋を胸に抱え、ふにゃふにゃ能天気な顔の智が立っていて…
「お前…こんなとこで何してた? つか、俺がどんだけ心配したと思ってんだ」
「ごめ…なさい…。ここで待ってれば翔くん来ると思って…」
智を責めるつもりなんてないのに、ついつい口調が荒くなるから、智の顔も見る見る引き攣って行く。
でも本当に心配したんだ。
もし智に何かあったら、俺きっと一生後悔することになるから…