Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第24章 僕達のカレンダー③
ふと壁の時計を見ると、時刻はもう間もなく11時を過ぎようとしていて…
徐々に募って行く不安を感じながら、
「こんな時間にどこ行ったんだか…」
ポツリ呟いた。
その時、不意にある記憶が俺の脳裏を過ぎった。
「アイツまさかまた…」
ここ最近、近所で変態痴漢野郎が出たっていう噂は耳にしていないが、それだって俺が知らないだけかもしれない。
もしまた変態痴漢野郎に捕まってたりしたら…
あの時見た、智が大男に組み敷かれ、今にも突っ込まれそうになっていた、あの光景…
もう二度とあんな思いはしたくない。
俺はいても立ってもいられず、玄関を飛び出すと、やっぱりエレベーターを待つのももどかしく、今度は階段を駆け下りた。
走るのに適したスニーカーではなく、サンダルを履いて来たことに後悔したが、 履き替えに行くだけの心の余裕は、今の俺にはない。
待ってろよ、智…
俺が今助けに行くからな…
ついさっきまでグルグルしていた酔いもどこへやら、俺は智が良く立ち寄る公園に向かって、脇目も振らず一目散に走った。
途中、何度か智の番号に電話をかけてはみたものの、繋がる
どころか電源が切れているらしく、返って来るのは電子音ばかりで…
そのことが俺の不安により一層の拍車をかけた。