Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第24章 僕達のカレンダー③
タクシーでマンションエントランスまで乗り付けた俺は、エレベーターを待つのももどかしく、普段はあまり使うことの無い階段を駆け上がった。
「くっそ…、こんなことならビールばっか飲むんじゃなかった…」
階段を一段上がる度、炭酸で満たされた腹がチャポンと揺れる。
つか、酔いが回るっつーの…
でもそんなことも言ってられないのが現実。
とは言え、時刻は既に深夜と言ってもいい時間だ。
隣近所は勿論のこと、智だってもう寝てるかもしれない。
集合住宅での迷惑行為はご法度だ。
俺は玄関ドアを前にすると、スーッと息を吸い込んだ。
音を立てないように鍵を回し、そーっとドアを開ける。
静かに靴を脱ぎ…、ってこれじゃまるで泥棒じゃねぇか(笑)
まあでも、智が寝てるかもって思ったら、極力物音は立てたくない。
「智? いるか?」
明かりのついたままのリビングのドアを開けながら、一応声をかけてみる。
でもシーンと静まり返ったままで…
やっぱ寝てんのか?
寝室のドアを開けてみる。
けど、やっぱり智の姿はなく…
「智…? おーい、智?」
かくれんぼでもしてんのか?
クローゼットを開けてみるけど…
「ここも違うか…」
じゃあこっちか?
押し入れも開けてみるけど、どこにも智の姿はない。
トイレにも風呂場にも、洗濯機(汚れたパンツはこの際無視して…)の中にも…
智がいない。