Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第23章 僕達のカレンダー②
僕はパパさん特製超濃厚チーズケーキを受け取ると、来る時よりも更に重い足取りでマンションへと帰った。
箱の外からでも匂う甘い香りに、僕のお腹がキュルッと鳴る。
そういえば僕、お昼ご飯まだだったっけ…
僕はカウンターの上にズラーッと並んだお皿に目を向けるけど…
なんか気分じゃないんだよなぁ…
「そだ♪」
僕は甘い匂いのする箱をそーっと開けると、綺麗にデコレーションされたパパさん特製超濃厚チーズケーキを取り出した。
「どうせ翔くん食べないし…、いいよね?」
だって悪いのは、自分の誕生日を忘れてる翔くんだもん。
僕はフォークを手に握ると、
「しょーくんのばかぁっ!」
と、お隣さんに聞こえそうな大きな声で叫び、フォークをケーキに突き立てた。
「あっ…」
一瞬でボロッと崩れるケーキが何だか悲しくて、ちょっとだけ涙が込み上げてくる。
でも、自分のお誕生日忘れちゃう翔くんが悪いんだもん…
僕と過ごすお誕生日より、お友達とお酒飲む方を選んだ翔くんが悪いんだもん…
僕は悪くないもん。
なのになんだろ…、この罪悪感…
僕はグチャグチャになってしまったケーキからフォークを抜き取ると、ケーキを箱に戻し、冷蔵庫に仕舞った。