Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第22章 僕達のカレンダー①
…にも関わらず、だ…
この生田って奴は、俺に右手をヒョイと上げてみせ、
「よぉ、櫻井。悪いねぇ、こんな時間に押しかけちゃって。つーかさ、どしたのよ、そんな血相変えちゃって(笑)」
バスタオル一枚巻き付けただけの俺を見て、クスクス肩を揺らしやがった。
それどころか、心配そうに生田を覗き込む智の髪を一房掬い、指にクルッと巻き付けた。
つか、悪いと思ってんなら、こんな時間に来んじゃねぇっつーの!
「智、俺の着替えは?」
俺は眉毛をヒクヒクさせながら、それでも冷静さを装った。
生田の前で醜態を晒した日にゃ、それこそ年明け早々会社で笑いのネタにされないから。
なのに、そんな俺の気もしらない智は、
「あ、ごめーん…、忘れてた。自分で出して着てくれる?」
なんてほざきやがる。
ったく…、どいつもこいつも…
俺は智と生田をリビングに残し寝室に入ると、タンスの中からスゥエットの上下と、下着を引き摺り出した。
腰に巻き付けたバスタオルを解き、ふとベットサイドの棚の上に視線を向けると、そこには準備万端整えられた三つのアイテム(ローション、ゴム、玩具)が、使われることなく綺麗に並んでいて…
それを見ていると、虚しさのあまり、俺の口から溜息が零れた。
ほんとなら今頃、智とあんなことやこんなことしてた筈なのに…
「ドア、開けんじゃなかった…」
後悔したって遅いけど…