Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第22章 僕達のカレンダー①
飲み会の会場でもある居酒屋までは、オフィスの入っているビルから歩いても15分とかからない場所にある。
暖冬とは言え、やっぱり15分も歩くとなると、寒さが身に染みる。
俺はブリーフケースから、智と揃いで買った手袋とマフラーを取り出すと、立ち止まることなく身に着けた。
つか、これ…智のだろ…
俺のは臙脂(えんじ)で、智のは紺色。
で、今俺の首に巻かれているのは、紺色のマフラーで、俺の両手に嵌っているのは紺色の手袋だ。
「ったく…、智の奴…」
たまにすんだよな…、“翔くんの物身に着けてると、翔くんと一緒にいるみたいだから”とかなんとか言ってさ…
分かるけどな、その気持ちは…俺もそうだから。
でも今日はそんな智の企みも、可愛く思えるどころか、面倒臭ぇ…
俺はコッソリ溜息を落とすと、そっと手袋を外して、ブリーフケースの中に突っ込んだ。
それを、この生田にって男は目敏く見てたようで…
「えっ、なになに? 手袋しないなら、俺に貸してよぉ」
なんて言いながら、俺に向かって両手を出してくる。
当然、俺の答えは「NO」だ。
どんなに腹が立っても、智の物を、それも同僚とは言え生田なんかに貸せる筈がない。
俺の物は智の物で、智の物は俺の物なんだから。
それに生田は…