Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第22章 僕達のカレンダー①
結局でっかいハートの意味は分からないまま、俺はその日を迎えた。
朝からやたらとニヤニヤする智を不気味に思いながら、智が用意してくれた朝飯を食い、智が用意してくれたスーツを着て、智が選んでくれたブリーフケースと弁当を手に、玄関へと向かった。
「じゃあ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい。あ、今日は早く帰ってくるよね?」
キスを強請るように、智が首を傾げて俺を見上げる。
俺はツンと尖らせた唇にチュッとキスをすると、寝癖だらけの髪をクシャッと掻き混ぜた。
「いや、今日は会社の飲み会だから、遅くなるって言ってなかったっけ?」
「えっ、僕聞いてないけど…」
智のニヤニヤ顔が一転、どよーんと曇る。
「そうだっけ? ま、兎に角そういうことだから」
それに智だって…
「飯の心配もしなくていいから、お前もたまにはゆっくりしてくるといいよ」
カレンダーに、あんなでっかいハートマーク書くくらいだから、よっぽど楽しみにしてるんだろうし…
「じゃあな」
もう一度、今度は額にキスを落とし、玄関を飛び出した。
まさか、パタンと閉まったドアの向こう側で、智が酷く悲しそうな顔をしてることも知らずにね。