Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
「寒っ…」
智を背中から下ろすと、軽くなった腰は楽になったけど、それまであった体温がなくなった背中が急に寒くなる。
「あ、ねぇ、パパさんのお店寄るんでしょ?」
なんだよ、ちゃんと聞こえてたんじゃん。
「あのね、パパさん達に昨日のこと謝らなきゃ、って思って…。心配させちゃったし…」
智のことだから、てっきりご褒美目当てだと思ってたけど、そうじゃなかったんだ…。
「一応ね、”ごめんなさい”ってメールはしたんだけど、やっぱり直接言った方がいいでしょ?」
「そうだな。智がそうしたいなら、寄ってくか?」
どっちにしろ寄るつもりだったしね?
俺は周りに人気がないことを確認して、智の肩を抱き寄せた。
いくらカミングアウトしてるとはいえ、それはごく近親者のみであって、やっぱり人前で、ってのは多少の抵抗がある。
それは智も同じで、外で…特に人気の多い場所では、むやみやたらにベタベタくっついてきたりはしない。
子供の頃はそんなこと気にしたこともなかったけど…
それがちょっと寂しくもある。
「翔くん? 考え事?」
「ああ、智にどうやってお仕置きしようかな、って考えてた」
「えっ、なんでなんで? 僕お仕置きされるようなことしたっけ?」
隣で智が唸りながら指を一本ずつ折っていく。
って、心当たりあんのかよ…
「うっそー。智があんまり可愛いから、キスしたいなって考えてたの」
よく考えたら、今日は朝出かける前に一回しただけだし…
それも智は夢の中だったし…
ほっぺだったし…