Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第21章 僕達の成人式
ベッドの上に畳んで並べておいた赤い半纏を羽織り、襟元を掻き合せる。
青い半纏を選ばなかったのは、翔くんの匂いに包まれてると、100万倍暖かいような気がしたから。
でもさ、寒いのには変わりないみたい(笑)
僕は足をブルブル震わせながら、元々備え付けのクローゼットの扉を開けた。
あまり着ることのないスーツやらを掻き分け、クローゼットの中をくまなく探す…けど、桐(?)の箱なんてどこにも見当たらない。
ってゆーかぁ、クローゼットの中、殆ど翔くんの服しか入ってないんだけど?
それもさ、何て表現したらいいのか分かんないような…一言で言うなら“ダサい”って言うかさ…
そんなんばっかが占領していて、僕の服なんて、端っこにチョロッとあるだけ。
ずっるいんだぁ…
でも仕方ないよね?
立派なサラリーマンの翔くんに比べて、僕はしがないアルバイトの身なんだからさ。
家賃だって生活費だって、殆ど翔くんの収入で賄ってるんだからさ。
でもそれに引け目は感じてない。
だって、夫が妻を養うのは普通だもん。⟵って、母ちゃんが言ってた。
だから翔くんの服が多くたって、別に何とも思わないんだけどさ…って、そんなことはどうでもいい!
「ねぇ、どこにあんの? 見当たらないけど…」
僕はコタツでゴロンしているであろう翔くんに向かって言った。