Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第21章 僕達の成人式
翔くんの胸にピッタリ背中を預けて、膝を抱える。
二人で入るには小さいバスタブだから仕方ない。
でもこの小ささだから、逆に翔くんとの密着度は“かなり”なんだ♪
「ところで捜し物って?」
僕の胸に腕を回しながら、翔くんが僕がすっかり忘れていたことを口にする。
「んとね、今日ねお買い物に出た時に見かけたんだ」
「何を?」
「振り袖着た女の子とか、見るからに真新しいスーツ着た男の子とかさ…」
「ああ、そっか…成人式か…」
うん、と僕が頷いた拍子に、湯面がチャプンと揺れた。
「でね、思い出したの」
「何を?」
僕の肩に顎を乗せて、翔くんが僕のほっぺに自分のほっぺをピタリとくっつける。
背中だけじゃなくて、ほっぺまでピッタリくっついちゃって、なんだか身体は繋がってないのに、一つに融けちゃったみたいな気がするのは、僕だけ?
「僕達の成人式のこと。新成人の子とか見てたら、懐かしくなっちゃったの」
まだほんの数年しか経っていないのに、すごーく昔の事のように思えたんだ。
「でね、あの時着た羽織と袴、どこに仕舞ったかな、って…」
「それで押し入れの中を?」
「うん。でも見つからないんだ。絶対持って来た筈なんだけど…」
はあ…、と僕は湯面に向かってため息を一つ吐き出した。