Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第20章 僕達の願い事
「違うの、そうじゃなくて…」
ズッと鼻を啜った智が手袋を嵌めた手で鼻の下を擦る。
あーあ、そんなことしたら、鼻の下真っ赤になっちゃうのに…
「違うって…、何が?」
「翔くん言ってたじゃん? 500円って”これ以上効果はない”って…」
”効果”…?
「ああ、そうか…、”効果”と”硬貨”かけてんのか…(笑) …って、俺そんなこと言った?」
「言ったの、ちっちゃい時に、潤に…。だから500円入れちゃ駄目なの…」
なるほどね…。
それで智はあんなにムキになって500円
硬貨を取り返そうと…
つか、そんな昔のこと覚えてねぇ(;^_^A
俺は智の肩を抱くと、額にチュッとキスをしてから、洗いざらしの猫っ毛をクシャッと掻き混ぜた。
「あんなぁ、智? お賽銭てさ、感謝の気持ちなんだから、別に金額に拘る必要はないと思うぜ?」
「そう…なの?」
いや、”そうなのか”と聞かれれば、俺も自信はないんだけどさ…(;^_^A
「だから、大金入れたからって、願い事沢山叶えてくれるわけでもないと思うんだ」
もしそうだったら…、俺は間違いなく大金を投入してるだろうな(笑)
だって、智といる限り、願い事なんて無限に浮かんでくるし。
「で、でもさ、500円は駄目なんでしょ? 効果ないんでしょ?」
「まあ…な…。でもさ、俺と智は二人で一つだろ? だったらさ、俺が55円入れたから、合わせて555円ってことでよくね?」
どうせ智の願い事も、智の感謝も、俺と共通な筈だからさ(笑)