Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第20章 僕達の願い事
年明け早々昼過ぎに目を覚ました俺達は、挨拶もそこそこにシャワーを浴び、近所の神社に初詣に向かった。
賽銭箱に賽銭を投げ入れ、二人で並んで手を合わせる。
横目でチラリと隣りを見ると、いつもはボーッとしている智も、ピタッと両手を合わせて、真剣な顔で拝んでいる…と思ったのも束の間…
「あーっ! どうしよう…」
急にでかい声を出したかと思うと、突然賽銭箱を覗き込み、ガタガタと揺らし始めた。
それどころか、賽銭箱の中に手まで突っ込む始末で…
「お、おい、何してんだ…」
慌てた俺は咄嗟に智を賽銭箱から引き剥がそうとしたけど、ガッツリ賽銭箱にしがみ付いた智の力は凄くて…
でもふと後ろを振り返ると、参拝を待つ人が列を作っていて、俺は智を強引に賽銭箱から引き剝がすと、引き摺るようにして神社の境内を出た。
「ったく、何考えてんだお前は…」
こんな真っ昼間に、しかも参拝客でごった返す中で、堂々と賽銭泥棒なんて…
「マジ、ビックリだわ…」
「だって500円…」
「ご、ごひゃく…えん…?」
「100円と間違えて、500円入れちゃったの…」
「は、はあ?」
そ、そんなことで…?
俺は思わずガックリと肩を落とした。
「たかだか500円だろ?」
実家に行けばお年玉だって貰えるだろうし…(俺にはないけど)
賽銭泥棒の真似事をするほどのことでもない。
…って、俺は思ってたんだけどね。