• テキストサイズ

Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】

第20章 僕達の願い事


年明け早々昼過ぎに目を覚ました俺達は、挨拶もそこそこにシャワーを浴び、近所の神社に初詣に向かった。

賽銭箱に賽銭を投げ入れ、二人で並んで手を合わせる。

横目でチラリと隣りを見ると、いつもはボーッとしている智も、ピタッと両手を合わせて、真剣な顔で拝んでいる…と思ったのも束の間…

「あーっ! どうしよう…」

急にでかい声を出したかと思うと、突然賽銭箱を覗き込み、ガタガタと揺らし始めた。

それどころか、賽銭箱の中に手まで突っ込む始末で…

「お、おい、何してんだ…」

慌てた俺は咄嗟に智を賽銭箱から引き剥がそうとしたけど、ガッツリ賽銭箱にしがみ付いた智の力は凄くて…

でもふと後ろを振り返ると、参拝を待つ人が列を作っていて、俺は智を強引に賽銭箱から引き剝がすと、引き摺るようにして神社の境内を出た。

「ったく、何考えてんだお前は…」

こんな真っ昼間に、しかも参拝客でごった返す中で、堂々と賽銭泥棒なんて…

「マジ、ビックリだわ…」

「だって500円…」

「ご、ごひゃく…えん…?」

「100円と間違えて、500円入れちゃったの…」

「は、はあ?」

そ、そんなことで…?

俺は思わずガックリと肩を落とした。

「たかだか500円だろ?」

実家に行けばお年玉だって貰えるだろうし…(俺にはないけど)

賽銭泥棒の真似事をするほどのことでもない。

…って、俺は思ってたんだけどね。
/ 628ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp