Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第19章 俺達の願い事
「えっ、なんで?」
俺は人目も憚ることなく、その場にしゃがみこんで、潤の足を手で撫でたり頬ずりしたり…
それには流石の潤も慌てたのか、
「お、おい…、人が見てるから…」
「だって…。ねぇ、何で? 何でこんな暖かいの?」
いや、寧ろ熱い…?
「ククク、それはな?」
潤が自慢げに笑って、ポケットからある物を取り出す。
「コイツのおかげで、俺は寒さ知らず、ってことだ(笑)」
「えっ…、まさかそれを全身に…?」
「当たり前だろ? じゃなきゃ俺がこの寒さに耐えられるわけない」
そ、そりゃそうだけどさ…
でもいくらなんでも、カイロを全身に貼ったら暑いんじゃ…
まあ、こんだけ着込んでても寒いんだから、プラマイゼロってとこなのかな(笑)
「おっ、そろそろだ」
プッと吹き出した俺の肩を、潤がグイッと抱き寄せて、遠くに見えるビルとビルの間を指差す。
何…が始まるの?
俺は潤の肩に頭をコツンと預けながら、潤が指差す方をじっと見守った。
それまで疎らだった人並みも、いつの間にか俺達の周りに集まり、ちょっとした人垣を作っている。
すると、どこからともなく歓声が上がり始め…
潤が指差す遥か向こうの空が、少しづつ明らんでを行くのが見えて…
「うわぁ…」
俺の口からも、溜息とも歓声とも区別のつかない声が漏れた。