Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第19章 俺達の願い事
「どうだ、凄いだろ?」
「うん…、凄い綺麗…」
それに凄く眩しい。
「ねぇ、これを見るためにここまで?」
「まあ…な。俺ら一緒に暮らし初めて、初めての正月だろ? だからどうしても初日の出は和と見たいと思ってさ…」
俺に初日の出を見せるために、身体中にカイロまで貼ってここまで?
なんだろ…、凄く嬉しい。
「あ、ねぇ、お願いごとしなきゃ」
「願い事? 流れ星でもないのに?」
「いいから、早く」
隣の潤を急かし、俺は両手を合わせると、そっと瞼を閉じた。
今年も皆が幸せでいられますように…
潤も、翔ちゃんも、智も…、それから、あれ以来(ライブ配信事件)ちょっと気まずくはなっちゃったけど、パパと松岡さんにも幸せになって欲しい。
いつだって皆には笑っていて欲しい。
俺は少しづつ明けていく空に向かって願った。
それも真剣に…
なのに、そんな俺の思いを踏みにじるかのように、隣で潤が足をバタバタとさせ…
「あっつ…、アチチ…」
と、ズボンの裾から次々カイロを落として行く。
「も、もぉ、ちょっと何してんの?」
「い、いや、カイロが熱すぎて…、アチッ…」
あーあ、カッコつけて薄着なんかするから…言わんこっちゃない…
「初日の出も拝めたし、帰ろっか?」
「お、おう…」
潤が足元に散らばったカイロを拾い集める。
その姿がとても滑稽で…(笑)
俺は周りの神聖な空気も気にせず、声を上げて笑った。
当然、周りからはひんしゅくもんだけどさ、これが俺達なんだから仕方ない。
「初日の出に、初笑いで今年も良い年になりそうだね♪」
俺はカイロを拾うフリをして、潤のほっぺたにチュッとキスをした。
新しい年になって、初めてのキスをね。
おわり💜💛