Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
智side
僕が目を覚ますと、翔くんはもう会社に行った後らしく…
暫くの間ベッドの中でゴロゴロしてから、僕はズンとした痛みを訴える腰を摩りながら、漸くベッドを抜け出した。
いつもなら、”智、朝飯!”なんて言うくせに…
ひょっとして僕のこと気遣ってくれたのかな、なんて思ったら何だか顔が緩んできちゃう。
ニヤけた顔のままリビングに入ると、テーブルの上に飲み会の場所の地図と時間、それから電話番号が書いた紙が置いてあって…
それにしっかり目を通すと、リビングの片隅に丸めて置いてあったシーツを洗濯機に放り込んだ。
どうやらそれがいけなかったみたい。
ちゃんと覚えたつもりの地図は、シーツに着いた染みと一緒に流れて行ってしまって…
結果…
「多分近くなんだと思うけど…。ここどこだろ?」
どうやら僕は迷子になってしまったらしい。
あーあ、なんであの紙持ってこなかったんだろ…
後悔したって仕方ない。
翔くん迎えに来てくれるって言ったし…。
ここで待ってればいいよね?
そしたらさ、
「おい、智!」
なんて、肩をガクーンと下げて、ついでに困ったように眉毛も下げてさ、僕に向かって全力で走って来てくれるんだ。
「ごめーん、やっぱり迷子になっちゃったみたい」
「お前の迷子は想定内だから…」
そう言って翔くんは僕に向かって右手を差し出した。