Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第18章 大人な俺達の危険な夜
「ごめんなさい…。すぐ温かい飲み物でも…」
ヒーターを入れ、コートを脱ぐ間もなく俺はキッチンに立った。
あ、風呂の準備もしておいた方がいいのか?
俺はポットに湯を沸かし、最近になって揃えた黒のマグカップと緑のマグカップを用意してからバスルームに向かった。
給湯器のスイッチを押し、バスタブに満ちて行く湯を見ながら思う…
この部屋で“最中”の声を和達に聞かれて以来、ここでは絶対にしないって決めてたけど…
なんか…、期待してるみたいじゃん、俺…
でもさ、期待…しちゃうよね?
だって誕生日だもん…
今日くらい…いいよね?
俺は心做しか熱くなった顔を冷えた手で冷ますと、平静を装ってリビングへと戻った。
ペアのマグに(インスタントだけど…)コーヒーを入れ、コタツで背中を丸くする松岡さんの前に置いた。
「おっ、悪ぃな…」
「ううん、俺の方こそ待たせちゃって…」
「いいってことよ(笑) そんなことより、これ…」
俺の前に差し出される小さな箱…
俺は手に持っていたマグを一旦テーブルに置き、代わりに箱を手に取った。
「これ…は?」
なんとなく…だけど、甘い匂いがするのは、俺の気のせい?
「それは、ほら…アレだ…、誕生日っつったら、ケーキくらいねぇとな…」
「えっ…、うそ…本当に…?」
だって松岡さん、甘い物得意じゃないのに…?