Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第17章 僕達のバースデーソング③
「一応…さ、“クマ”のつもりだったんだけど…さ…」
うっそ!(驚)
翔くんが“描いた”ってことも驚きだけど、このスライムみたいのが“クマさん”だったなんて…
魔除って言われるのも仕方ないかもね(笑)
でも、
「ありかと♡ 僕嬉しいよ」
「マジ…で?」
「うん。だって、クマさんには全然、全く見えないけどさ、絵が下手な翔くんが一生懸命描いてくれたんでしょ? それにピアノも…」
「ビアノはさ…ガキの頃習ってたし…」
そうだけどさ、でもたとえピアノを習ったことがない僕が分かるくらいのミスがいっぱいあったとしても、曲のテンポが途中で変わっちゃっても、翔くんの一生懸命さは、ちゃんと僕に伝わってきたもん。
だからケーキだって一緒。
「翔くん、アーンして?」
僕はテーブルの上にあったフォークを翔くんに差し出した。
「お、おう…」
翔くんが照れながらフォークを受け取り、ケーキを掬う。
その間、僕は口をおっきく開けて待ってたけど…
あれ?
僕…何か大事なこと忘れてる?
「あっ! ちょっと待って! 写メ撮らなきゃ!」
僕は慌ててスマホを和に渡すと、翔くんの腕に自分の腕を絡めて、得意の顎出しスマイルを浮かべた。
「ハイチーズ!」
パシャッとシャッター音が響き、僕達の笑顔と、スライムチックなクマさんがカメラに納められた。