Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第17章 僕達のバースデーソング③
目の前で、ロウソクの灯りがユラユラと揺れる。
やがて翔くんの奏でるピアノの音が止み、パパさんがロウソクの向こう側でニッコリ微笑む。
僕は目いっぱい息を吸い込み、溜め込んだ息を一気にロウソクに向かって吹きかけた。
すると途端に湧き上がる拍手と、次々にかかる「おめでとう」の声…
「うそ…、だって僕…」
お誕生日会なんて開いてる貰えると思ってなかったのに…
「ちゃとちしぇんしぇー、あい、ぷじぇれんと」
「僕に? ありが…と…」
「ほれ、私らからはこれね」
「えっ、こんなに沢山…?」
僕の両手は、ちびっ子達から贈られた折り紙の花束と、おばちゃん達から贈られたお煎餅の詰め合わせパックで、あっという間にいっぱいになった。
ってゆーか、
「ねぇ、なんで皆いるの? だって、体操教室倒産したんじゃ…」
「はあ? 何いってんだ、お前…」
えっ、東山さん?
「だ、だって、スタジオ行っても、事務所行ってももぬけの殻だったし、それに電話だって…」
何度もかけたけど、すぐに留守電に切り替わっちゃったし…
「それに関しては、後で翔さんからキッチリ説明させるから、とりあえずこっち座れ」
「う、うん…」
潤に促されて、僕はながーいテーブルの一番いい席…お誕生日席に座った。