Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第17章 僕達のバースデーソング③
「帰りたくないな…」
丁度お昼が近付き、お腹がキュルッと鳴っても、僕はマンションに帰る気にはなれず…
確かまだ今月の生活費が残ってた筈。
それも、節約生活のおかげで、いつもより多めに…
ジャンパーのポッケに捩じ込んだ財布を取り出した。
その時、財布と一緒に、小さな紙切れがポケットからポロリと砂場に落ちた。
一見するとレシートみたく見えるけど、よーっく見るとそこには何やら走り書きみたいのが書いてあって…
筆跡鑑定に出して貰ってもいいくらい、明らかに僕の字じゃない。
「何これ…?」
僕はクシヤッと丸まった紙を開き、膝の上で広げた。
そこには、
『智へ
本日11月26日正午、パパさんの店で待つ。
翔より』
と、だけ書いてあって…
「えっ…、はあ? ねぇ、どゆこと?」
僕は思わず首を傾げた。
だってパパさんのお店お休みって張り紙してあったし…
あ、ひょっとして日付け間違ったとか?
いや、でも11月26日って確かに書いてあるし、大体自分の誕生日を僕が忘れる筈がない。
「仕方ないなぁ…、行ってみるか…」
内心、超不審に思いながらも、僕は公園を後にして、再びパパさんのお店に向かって、トボトボと歩き始めた。