Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
智side
知らなかった…
翔くんがお友達に僕とのことカミングアウトしてたなんて…
「で、でも、じゃあ飲み会の話は?」
「あれは、お前に興味を持ったその同僚の陰謀ってやつ? 飲みの席なら恋人連れてきやすいでしょ、ってさ…」
なんだ…、そうだったんだ。
最初っから翔くんの”こびと”が男だって分かってたんだ…
「で、潤の店に行ったのは、その打ち合わせも兼ねてってことだったんだけど、それをニノの奴が勝手に勘違いした、ってわけ。分かった?」
「…うん、分かった」
要するに、僕が散々グルグル悩んでたのは、意味がなかったってことなんだよね…?
それに良く考えてみれば、翔くんに女の子のお友達がいたって、全然不思議じゃないし…
「でも悪かった、最初にちゃんと説明しとけば、智を怖い目に合わせることもなかったんだよな? ごめんな、智」
「ううん、僕も勝手に勘違いしちゃって…ごめんね? それに、僕の”てーそー”は無事だったから」
「い、いや、そう言う意味じゃなくてさ…。ま、まあ…そうだよな? 無事だったんだもんな?」
翔くんの肩がガクーンと下がったような気がしたけど、それはほんの一瞬のことで、
「うわっ…」
気付いたら僕の視界はグルンと反転していて…
ビックリして瞬きをしていると、まるでコマ送りみたいに翔くんの顔が近づいてきた。
あ、そういえば…
「あ、あのね、翔くん?」
翔くんの顔が、お互いの鼻先が丁度当たる距離でピタリと止まった。