Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第14章 僕達の勘違いな日常
「えっ、まさか松岡さんが…?」
いやいや、万に一つもそんなことは…
いやでも待てよ…、和はともかくとして、潤なら…
「あのぉ…、パパさん? もしかしてとんでもなくおかしな妄想してる?」
翔くんがクスクスと肩を揺らす。
「そんな筈ないじゃん(笑) だって松岡さんだよ?」
「それは…そうだけど…、って、コラッ、大人を揶揄うんじゃない」
俺はケーキの入ったバスケットを床にドンと置き、スカートの裾も気にせず、思いっきりがに股でズカズカと寝室のドアの前まで歩み寄った。
コホン、と咳払いをして息を吸い込む。
「昌…松岡さん、俺です。開けますよ?」
やばいやばい、子供達の前でうっかり”昌宏さん”なんて呼んだら、後で盛大に冷やかされるところだった。
それにしても、和も潤も一緒にいるってのに、随分と静かだな…
「松岡さん?」
呼びかけにも返事はないし、コトリと物音一つもしない。
「開けますからね?」
不信に思った俺は、ドアノブに手をかけた。
その時、
「Trick or Treat」
いきなり開いたドアから顔を出したのは、眼鏡をかけた女性で…
「へ? あ、あの…、どちら様で…?」
俺の口からはとんでもなく間の抜けた声が出た。
あれ?
でもちょっと待てよ?
何で松岡さんの家に女性が…?