Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第14章 僕達の勘違いな日常
車を走らせること数十分…
パパさんの店に到着した俺は、意気揚々とばかりにショーケースの前に立った。
勿論、智への土産を選ぶためだ。
ところが…
「ちょっと翔ちゃん! 今まで何してたの? 何回も電話したのに…」
潤が経営するカフェの方から、ニノの若干怒りを含んだ声が飛んできた。
「いやぁ、悪い悪い。仕事が思った以上に長引いちゃってさ…。丁度智に土産でもと思って…、のわっ…!」
言い訳(事実だけど…)でその場を取り繕おうとした俺の腕をニノが掴み…
「なになに、なんなのよ…」
俺は引き摺られるようにして、カフェのカウンターまで連行(この場合、この表現が正しいかも…)された。
「言い訳はいいから、ここ座って!」
「は、はい…」
突如として鬼嫁(俺のじゃないけど…)と化したニノを前に、俺に為す術なんてなく…
仕方なくカウンター席に腰を下ろすと、カウンターの中で素知らぬフリでグラスを磨く潤を見上げた。
でも潤は助け舟を出してくれるわけでもなく、俺をチラリと見ただけで、再び視線を手元へと戻した。
なんなのよ、この状況…
あ、もしかして…
「ひょっとしてお前ら、夫婦喧嘩だろ?」
この見るからに険悪な雰囲気…、絶対そうだ。
「だったら悪ぃけど、二人で解決してくれる? 俺、家に智待たせてっからさ」
夫婦喧嘩は犬も食わねぇって言うくらいだからな。