Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第14章 僕達の勘違いな日常
「えっ…、何で…?」
そこには、大きな紙袋を手に下げ、見知らぬ女と一緒に会話をしながら歩く翔ちゃんの姿があって…
俺は、突然今にも掴みかかる勢いで走り出した智の腕を咄嗟に引き、近くにあったベンチへと座らせた。
「翔くん、お仕事だって言ったよ? ここに来るのだって、混んでるから嫌だって言ったよ? なのに何で…?」
ベンチに座ってからも、ポロポロと涙を流しては、俺の差し出したハンカチで鼻を噛む智の背中を、俺はどうすることも出来ずに摩り続けた。
でも、流石に大の大人が公共の場で泣いてりゃ、白~い~目で見られることも少なくはないわけで…
「と、取り敢えずさ、ここにいてもなんだから、潤の店行かない? ね?」
単純な智のことだ、美味しいコーヒーと大好きなスイーツを前にしたら、きっと気持ちも少しは落ち着く筈だ。
そう考えた俺は、どんより項垂れる智を無理矢理立たせ、つい数分前に潜った入り口ゲートを、智を引き摺るようにして、今度は逆の方向に向かって潜った。
「こんなことなら、近くのスーパーにしとけば良かった…」
今更な後悔を口にする智を助手席に押し込み、シートベルトすらかける気力のない様子の智にシートベルトをかけてから、俺は漸く車を発進させた。