Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
泥だらけになったシャツを剥ぎ取り、ズボンも下着も全部脱がせると、俺はそれを一纏めにしてごみ箱へと投げ入れた。
あの変態男が触った物なんて、二度と見たくない。
なのに智ときたら…
「あ、捨てちゃ駄目。それお気に入りなんだから…」
って、どこまで脳天気なんだお前は!
何度も言うようだか、そこが智の可愛いトコでもあるんだよな。
…って、そういう問題じゃない。
「いいから、兎に角シャワー浴びるぞ」
ったく…さっきまで俺のシャツを涙と鼻水でベタベタにするくらい、ワンワン泣いてたクセに…
シャツの一枚や二枚何だってんだ。
俺は急いで服を脱ぐと、名残惜しそうにゴミ箱を覗き込む智の手を引いて、バスルームに入った。
智好みの、温めのシャワーを頭から浴びせかけてやると、智が一瞬顔を顰めて、頬を手で押さえた。
「痛い?」
「ううん、大丈夫」
小さく首を振る智を椅子に座らせて、シャンプーで髪を洗ってから、今度はボディソープをたっぷり含ませたスポンジで背中を洗ってやるけど…
良く見ると、あちこちに細かい擦り傷みたいなのがあって、それを見ているうちに、俺の中に段々怒りが込み上げてきた。
「あの変態男にどこ触られた?」
「んと…、ココと、ココ…、後は…でも服の上からだから…」
いやいや、服の上からとか関係ないでしょ…
「分かった…、全部纏めて俺が消毒してやる」
身体に着いた泡をシャワーで流し、その場に胡座をかくと、膝をトントンと叩いた。