Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第12章 僕達の休日の過ごし方
そうしているうちに、少しずつ黒いモクモクが晴れて行って…
「痛っ…、痛たたた…」
黒い生き物…人影が、頭と腰を摩りながら、僕に近寄って来た。
ゾ、ゾ、ゾ、ソンビ!?
それとも、
「う、うわぁっ…、寄るな変態!」
僕は煤で真っ黒家になったクッションを抱き締めたまま後退り、壁にぶち当たった所で尻もちをついた。
父ちゃん、母ちゃん、先立つ不幸を許して!
それから翔くん、僕が枕元に立った時には、プリンをご馳走してね?
じゃなかったら僕…、祟っちゃうからね?
僕はギュッと目を瞑って、訳の分からない念仏を唱えた。
その時、
「智…、おい、智、俺だってば、俺…」
聞き覚えのある声がして、僕の手がムギュって掴まれた。
「ひっ…ひぃぃっ…! 翔くん、助けてー!」
「いや、だから俺だってば…」
「いやいや、翔くんっ…!」
「だーから、もぉっ…!」
両手両足をバタバタさせる僕を、真っ黒い変態さんがムギゅーっと抱きしめてくる。
あれ、この匂い…
焦げ臭い匂いに紛れて、甘過ぎない、でもどこかフルーティな匂いが微かに漂ってくる。
「も、もしかして翔…くん…?」
僕は恐る恐る顔を上げ、真っ黒い変態さんの顔をマジマジと眺めた。
すると目の前の変態さんが、ビックリするくらい大きな溜息を落とした。