Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第11章 大人な俺達の複雑な心境
「まあ、お前の気持ちは分からなくもねぇか…」
松岡さんの口から出た意外な一言に、俺は思わず飛び起きて松岡さんの顔を見下ろした。
「うそ…」
「うそってなんだ、うそって…」
目を丸くする俺の額を、松岡さんの指が弾く。
超痛いんですけど…
「だ、だって…」
松岡さんは俺と違って独身だし、当然”親”の気持ちなんて分かりっこないと思ってたのに…
「あんなぁ、俺言わなかったか? ”お前ぇのガキは俺のガキだ”って…。忘れたのか?」
ううん、忘れてなんかない、今でもハッキリ覚えてる。
ただ、あの時はその言葉の意味が分からなかったけど…。
「っつーことはだなぁ、俺だってお前ぇと同じように寂しいんだよ」
そ、そう…なの…?
「ほら、アレだ…、娘を嫁に出す心境って言うのか? そんなもんだ」
照れ臭そうに、目を泳がせては、こめかみの辺りをポリポリと指で掻いてる松岡さん。
それにしても“嫁“って…
それに和は”娘”じゃなくて”息子”だしね?
でも松岡さんが和のことをそんな風に思っていてくれたことが嬉しい。
「ありがとう、和のこと本当の息子みたいに思ってくれて…」
「あったりめぇだろ? お前ぇのガキは俺のガキでもあんだからよ」
って、それ何回目?
でも何度聞いてもまた聞きたくなるんだよな…、愛されてるって実感出来るから。