Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第11章 大人な俺達の複雑な心境
「で? 今度は何で悩んでんだ?」
お前の悩みはどうせ和のことだろうけどな、なんて俺の髪を弄ぶ長い指。
うーん…、もしかして俺ってば子供扱いされてる?
まあでもそれも仕方ないか…
元をたどれば、俺と松岡さんは上司と部下の関係だし…
「実は潤の奴が、和と一緒に暮らしたい、って…」
「それってのは、“同棲”ってことか?」
「“同棲”じゃなくて“同居”ね…」
「どっちも同じようなもんだろうが…」
「全っ然違いますから…」
簡単に言えば確かにそうなんだけどさ、どうしても認めたくない俺…
心狭過ぎて笑える。
「で? お前は何て答えたんだ?」
「俺…は…、和が“そうしたい”って言うなら、って…。でもさ…」
「なんだ、言っちまってから寂しくなっちまった、ってわけか…」
「うっ…」
そんなハッキリ言わなくても…
図星を指されて、何も言い返すことが出来なくて…
「はあ…」
俺は何度目かになる、今日一番の盛大な溜息を漏らした。
そんな俺の頭を、松岡さんがポンと叩いて、目線だけを俺に向けた。
絶対笑われる。
どんだけ子離れ出来てないんだ、って…
いい加減子離れしろ、って…
俺だって分かってるんだ、
いつまでも和は子供じゃない、って…
だから笑われたって仕方ない、って…
そう思ってた。