• テキストサイズ

Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】

第1章 僕達のちょっとした悩み


翔said


ブランコの下で点滅していたのは、智のスマホだった。

それを拾い上げた瞬間、嫌な予感が脳裏を駆け巡る。

最近、この辺りで若い男ばかりを狙った変質者が出没するらしい噂を、つい数日前に耳にしたばかりだ。

まさか…そんなこと…あるわけねぇよな…

確かに、恋人だって欲目を抜きにしても、智は一見すれば女にみえなくもない。

でも…、でも…!

「ねぇ、アッチの方で声しなかった? 叫び声…みたいな…」

「えっ…、どっちだ」

和の心なしかに震える声に我に返った俺は、これでもかってくらいに耳をそばだてた。

そうすると、微かに聞こえる、葉が激しく擦れ合う音と…俺の名前を呼ぶ声。

「あっちだ!」

俺は声のした方角に向かって一目散に駆け出した。

しっかり紐の結んでいなかった靴が片方途中で脱げたが、それに気を止めることなく、ただひたすらに走った。

「智! どこだ! さと…っ…!」

声を枯らす程名前を呼びながら、生い茂る草木を掻き分けて、公園内の小高い丘を駆け上がる。

そして頂上付近まで上り詰めた時、視界に飛び込んで来た熊のような大きな巨体と、その下で両足をバタつかせる…智の姿。

「てめぇ、コノヤロー!」

俺は躊躇うことなく、その巨体に飛びかかった。
/ 628ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp