Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第9章 僕達の危険(?)な夜
「もう翔くんなんて知らない!」
「翔くんは僕より仕事の方が大事なんだ!」
「翔くんの嘘つき!」
って、散々翔くんを罵って以来、僕達は殆ど口をきくこともなく…
とうとう旅行の当日を迎えてしまった。
「あのさ、智…」
鏡の前でネクタイを締めながら、翔くんが言いかけた時、リビングのテーブルの上に置いた僕のスマホが鳴った。
「あ、潤からだ」
僕は翔くんを無視してスマホを耳に宛てた。
「えっ、もう? んじゃ、急いで下降りる!」
電話を切った僕は、用意してあった旅行鞄を引っ掴むと、翔くんを振り返ることなく玄関へと向かった。
だって顔見たらさ、また翔くんのことめちゃくちゃに責めちゃいそうなんだもん。
「じゃあ、僕行ってくるから…。戸締りと火の元だけ宜しくね…」
それだけを言うと、僕はドアを開けて外に飛び出した。
翔くんが何か言いたげにしてたけど、どうせ言い訳だろうから気にしないことにした。
階段を一気に駆け下り、マンション前に停まった潤の車のドアを勢い良く開けた。
「あれ…? 和は…?」
車には、運転席に座る潤しかいなくて、一緒に行く筈だった和の姿はどこにもない。
それこそトランクにも…
「和さあ、急に仕事入ったらしくてさ…、明日しか来れないらしいんだ」
「マジで?」
ってことは、今夜は潤と二人きり?
嘘でしょ…
そんなの翔くんが知ったら…って、僕ってば何考えてんの?
元は翔くんが悪いんだ。
うーんっと嫉妬すればいいんだ。
「いいよ、行こ?」
僕たちだけで楽しんじゃうもんねーだ。