Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
智side
そう言えば、最近公園に変質者が出る、なんて噂を耳にしたな、なんてことを、大男に引き摺られながら、ふと思い出す。
でもまさか自分が…なんてこと、思ってもなかった。
こんなことになるなら、変なヤキモチなんて焼かずに、真っ直ぐ家に帰ってれば良かった…
今更後悔したって仕方がない。
今はまず、どうやってこの状況を打破するか、が問題で…
でも、こんな大男をどうやって?
力技じゃ、到底適う筈もなさそうだし、それに凶器とか隠し持ってたら…
そんなことを考えていたら、急に恐怖が込み上げてきて…
「や、やだ…、助けて…しょ…んぐっ…」
叫ぼうとした口は、大男の汗ばんだ手で塞がれて…
「んん…っ…んんん…」
僕は足をばたつかせて、何とか抵抗を試みた。
でも…
「大人しくしてりゃ、気持ち良くしてやっからよ…」
大男が僕の腹の上に跨り、僕の動きを封じた。
「騒ぐなよ? 騒いだら…どうなるか、分かってんだろ?」
やっぱり僕は、殺されるんだ…
どうせ殺されるなら、翔くんの手で殺されたかったな…
自然と涙が溢れて、頬を濡らしていく。
ピリッと頬が痛むのは、きっと引き摺られている間に、木の枝やなんかで引っ掛けたから、なのかな…
あーあ、どうせなら、綺麗な顔のままで死にたかったな…