Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
ニノとの電話を切ると、カッターシャツの上にパーカーを羽織り、スマホを手に部屋を飛び出した。
ニノの話によれば、智がパパさんの店を出てから、もうかれこれ一時間は経っているらしい。
これはもう、智の身に何かあったに違いない。
不安で焦る気持ちのまま、智が立ち寄りそうな場所を手当り次第に探して回った。
途中ニノと、潤、パパさんも合流した。
皆で手分けして探した方が早いだろう、というパパさんの判断だった。
でも、どれだけ探しても智は見つからず、俺達は一度集まって対策を練ることにした。
集合場所は、マンションからそう遠くない、公園に決めた。
時間はあえて決めず、先に着いた方が連絡をすることにした。
公園に向かう間も、俺はずっと智の電話を鳴らし続けた。
頼む、出てくれ!
そう願いながら…
走り回ったせいか、公園に着いた頃には俺の息も上がっていた。
辺りに目を配りながら、俺は公園の入り口で三人の到着を待った。
きっとそう大して時間は経っていないんだろうけど、向こうから走って来るニノと潤、そしてパパさんの姿を見つけるまでの間は、とてつもなく長い時間に感じた。
「サトくんは? まだ?」
パパさんが肩で息をしながら言った。
「ったく、智の奴どこ行ったんだよ…」
潤も苛立ちを隠せない。
「あ、ねぇ、アレ何? 何か点滅してない?」
ニノの声に、俺達は揃ってブランコの方に視線を向けた。