Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第8章 俺達の落ち着ける場所
「とりあえず飯にしようぜ? 俺、腹減ったし…」
袋の中のスイーツが気になって仕方ない様子の智を説き伏せ、一人寝室へと入った俺は、深い溜息と共にスーツを脱ぎ捨て、洗い立てのジャージに着替えた。
いつ話を切り出そうか…
そればっかりを考えながら、食卓に着いた俺は、唯一自分のために買ってきたビールを開け、グラスに注いだ。
「食べよ?」
「おう、いただきます」
今日の献立は、最近智の得意料理になりつつあるメバルの煮付けに、キンピラゴボウと味噌汁。
「うまっ…!」
「ホント? ふふ、ちょっと自信作なんだ♪」
自信作と言うだけあって、智の作った煮付けは、口に入れた瞬間、ホロっと砕けて溶けていった。
うちの嫁、何気に料理上手です。
「ところで、僕に何か言いたいことある?」
「えっ、な、なんで…?」
思わずビールを吹き出しそうになる。
「だってさ、あ〜んなに沢山のスイーツ買ってくるなんて、何かあるのかなぁ、ってさ…」
たまにあるんだよな、妙に勘が鋭いって言うかなんて言うか…
俺は箸を一旦揃えて置くと、一つ咳払いをした。
「実はな、智…」
「ほらぁ、やっぱりあるんじゃん(笑) で、何?」
「出張…になったんだけど…」
「いつから? 何日? どこ行くの?」
矢継ぎ早の質問に、俺はやっぱり断るべきだったんじゃねぇか、って思った。
だって、智の顔…、超不安そうなんだもん…