Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
和から聞き出した話は、僕が思ってもいなかったことだった…ってこともないか…
うん、ホントはいつかこんな時が来るんじゃないか、って予想はしてた。
でもさ、まさか和から聞かされるとは思ってなかったな…
出来れば翔くんの口から、直接聞きたかった…
はぁ…、もう何か色々悩み過ぎて、疲れちゃったな…
パパさんの店からマンションまでは、歩いたって15分もかからない。
でも真っ直ぐ帰る気にもなれなくて、僕は丁度店とマンションの中間に位置する公園に立ち寄った。
流石に日が落ちた公園には、ガキンチョ達の声がする筈もなく、僕は風に揺られてキッと音を立てたブランコに座った。
ポケットの中では何度もスマホが震えていたけど、きっと相手は翔くんだ。
翔くんは心配性だから…
でも僕はその電話を無視し続けていた。
もっと心配すればいい。
僕に隠し事をした罰だ。
僕はゆっくりブランコを漕ぎ始めた。
その時だった…
背後でカサッと砂を噛む音が聞こえた。
もしかして翔くん?
帰りの遅い僕を、翔くんが迎えに来たんだ。
そう思った僕は、ブランコを止め、ゆっくり後ろを振り返った。
でも、そこにいたのは、全く知らない、見ず知らずのオッサンで…
咄嗟にブランコから飛び降りようとした僕は、オッサンの手に口を鬱がれ、腰を羽交い締めにされた。
どうしよう…
怖いよ…
助けて、翔くん…!